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緘黙基礎知識

緘黙とは

難しい漢字ですが、場面緘黙(ばめんかんもく)と読みます。
緘黙には全緘黙と場面緘黙・選択緘黙があります。
全緘黙はすべての場面で話せません。
場面緘黙は家などでは普通に話すけど一部の生活の場面、
主に学校など家庭的でない場所では話さない
話せない状態が長く続くことをいいます。

緘黙の子はなぜ話さないか?

なぜ話せないのか?本人に聞いてもわかりません。
意識して話さないのではなく心理的に話せない状態なのです。

発生率 男女比 発生時期

統計では全体の0.2~0.3%前後の児童にみられると言われています。
男女比は1:2程度で女児に多い。
  発生時期は幼稚園・保育園や小学校入学時に集中する
(中学や高校でなる場合もあります)

原因

もともとなりやすい性格(内気、人見知りなど)
に緘黙になる原因(劣等感を植え付けられたなど)が重なったときになる。
緘黙になる原因は人それぞれでまだはっきりしたことはわかっていません

どんな症状があるか

学校で誰とも話さない 友達と遊ばない 給食を食べない 緊張で硬直している

やってはいけないこと

発声練習をさせる 話さないことをしかる いじめる

親の間違った対応

まず大切なのはやってはいけないことをやらないことです。下記のことは絶対にやってはいけません

話さないことを責める

何で話さないの? そんなんじゃ将来困るよ。 など。

学校のことは学校任せで何もしない

学校と言うのは完璧なものではありません。 特に緘黙などあまり一般的でない状態の子には間違った対応をとる場合が多々あります。

親の正しい対応

場面緘黙症を理解しよう

まずは場面緘黙と言うものを理解することが大切です。
いろいろなホームページや本などを見て理解をしましょう。
緘黙関係のHPには緘黙経験者 緘黙の子の親 専門家などがあります。
それぞれの意見を読んでみるといいでしょう。

悩まないで考える

自分の育て方が何か間違ったのか? 
などと悩んで家庭が暗くなったり落ち込んだりすることはプラスになりません。
もし間違ったことをしたと思うなら今後はしないようにしましょう。
悩むのではなく前向きに今後はどうすればいいか考えることが大切です。
緘黙になった原因を探る

原因がわかればすっきりするかもしれません。
特に最近緘黙になった場合、今現在緘黙になる原因が発生し続けている場合もあります。
原因が発生し続けている場合は速やかに対処しましょう。
緘黙になった原因が考えてもわからない場合はほっておきましょう。
大切なのはこれからです、今後の対応で治るか治らないかが決まります。
緘黙の子の置かれている状況を確認する

いじめ 不登校 学業不振などその他の問題行動が生じていないか確認する

子供の学校での状況を調べる

学校は楽しいか?担任の先生は好きか?
いじめられてはいないか?友達はいるか?
などさりげなく本人に聞いたり(あくまでさりげなく聞きましょう)
信頼できる同級生や担任の先生に聞くといいでしょう。
学校を苦痛に思っているいじめられているなどの場合は速やかに対処しましょう。
学校・担任の先生との協力
まず担任の先生について緘黙について説明をしましょう。
緘黙とは何か?やってはいけないこと正しい対応これらを文章にまとめて読んでもらいましょう。

どこまで緘黙なのか整理しよう。

場面緘黙は人それぞれです。
出来ることと出来ないことを整理しましょう。
たとえば学校ではまったく話せなくても学校以外では話せる場合
学校以外の友達を作れるようにしてみるといいでしょう。

緘黙以外の部分を大きくする

得意なこと興味があることがあればその部分を延ばしてあげましょう。
また学校以外で活躍の場を探してみるといいでしょう。
人それぞれ&働きかけを観察する

緘黙の子もひとそれぞれです。
緘黙の程度も違えば性格も違います。
たとえば他の緘黙の子がこれをやったら良くなったという場合でも
自分の子に当てはまるかどうかわかりません。
良くなったうまくいった話もすぐにそっくりまねをしないで参考にしましょう。

緘黙について本人に話す

「学校で話せないのは場面緘黙症というものであなただけではないんだよ」
と伝えることによって安心することもあります。
逆に本人に伝えることが悪影響を及ぼすことも
無いとはいえないので本人の性格や伝え方をよく考えて決めましょう。

親の正しい対応のまとめ

緘黙により学校で話ができないのも問題ですが
本当に問題なのは話せないことによっていじめや友達がいない
 学業不振 などによって学校が辛い将来に影響を及ぼすことが一番の問題です。
緘黙の子にとってよりよい環境を作ってあげるのが一番大切です。

教師の間違った対応

話さないことを責める

お前なんで話さないんだ。話すまで家に帰さないぞ。声が小さいやり直し。
話さないからと言って体罰を与える

話す訓練をさせる

発声練習をさせる他の子をけしかけてイエス・ノーで答えられないような質問をする

周囲の視線にさらす

○君が話すかもしれません静かにしなさい。

変に特別扱いをする

ダメな人間 劣った人間として扱うどうせあの子は何も出来ないと言う態度をとる。

やってはいけないことをやると確実に悪化します。

教師の正しい対応

場面緘黙症を理解する

緘黙の子は話さないのではなく心理的に話せないのだということを理解します。

ネットで緘黙について調べてみるのがいいでしょう。
緘黙当事者 親 専門家などのホームページをいろいろ見てみましょう。
緘黙について書かれた本 場面緘黙Q&Aを読んでみるのもいいでしょう。

緘黙の子の置かれている状況を確認する

いじめ 不登校 学業不振などその他の問題行動が生じていないか確認する

緘黙の子の親と協力する

緘黙の子の親とどういう働きかけをするといいかなど話し合いましょう。

リラックスできる環境にする

子どもが先生に対して、楽な気持ちでふるまえるような関係を作ってください。
無理にしゃべらせようとしないで、先生がその子の内面にある気持ちや考えを代弁してあげてください。

目立たないようにさりげなく接する

注目しすぎず、さりとて無視もしないで、
いつも温かく心をかけてやりながら深追いはしない
反応を要求しない話しかけても、それに対する”答え”を期待してはいけない。
話しかける一方でいい。表面的には無視し、無表情、無関心な態度をとることも多いが内心は喜んでいることも多い

できることを見出し褒めてやる

他の子と同様にできること、その子なりにできていること、
前より進歩したことその子なりに努力していることなど、
どんなささやかなことでもそれを見出し認めてやる。

日記 作文を通して交流をはかる。

緘黙の子の中には、しゃべらないが日記や作文を書くことが好きな子もいる。
日記作文を通して心の交流をはかる。日記や作文を書けない子もいます。
そういう子には無理に書かせないで配慮をしましょう。

しゃべらなくてもコミニケーションできるようにする

話さなくても意思の疎通が出来るようにその子と先生の秘密のサインを作る
働きかけたときの反応を観察して、働きかけを変える。

働きかけがかえってその子を緊張させないか?どういう働きかけがその子にとって良いのか考える。

緘黙以外の部分を大きくする

その他の面で光り輝くことで相対的に緘黙の問題を小さくするといいでしょう。

クラスの一員として扱う

グループや二人組みでの発表等、その子も抜かさずに学級の大切な一員であることを本人にも他の子にも知らせてください。

できる範囲で

しゃべるか しゃべらないか 100点か0点かではなく
今出来ることを認めてそれ以上のことを急いで求めないで温かく見守ることが必要です。
教師が100パーセントの努力をしても子供には100パーセントの結果を求めたりしない。
ゆとりを持った対応が必要です。

教師が味方である事をわからせる

困ったときは味方になり、守ってやる。
もし他の子どもたちが辛くあたっているようなことがあればたしなめることも必要である。

クラスの他の子に対して緘黙について説明する

他の子に対して今は話せない状態であるけど他の子と同じクラスの仲間なんだよ。
と説明するやってはいけないことをやらないように注意する。
○ちゃんがしゃべったなどしゃべったことに注目しない話さないことを攻めたりしない。

つながりを少数から全体へと広げていく

教師がまずその子の心を開き信頼されるように努める。
それを少数の子供との関係につなげ
(最初は大人しい子で性格のいい子と付き合えるようにすると良いでしょう)

さらに多くの子供へと段階的に広げていく。

学年が変わり担任が変わるときはその子について新しい担任に伝える

新しい担任に緘黙とはどういうものか。どう接するといいかなど伝える。

学校・教師の正しい対応 まとめ

ここに書かれていることで重要なのはいきなり話せるようにするのではなく
緘黙の子の心を開くことによって本人が自然に振舞えるようにすることです。
無理やり話させた場合、一見進歩したように見えますが
それは緘黙を治すことから離れていきます。 
話せないことだけにとらわれるのではなく
緘黙によってその他の面(勉強 運動 人間関係)に悪影響を及ぼさないようにすることが大切です。