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放課後カルテの8巻と9巻で緘黙の話が載っているので買って読んでみました。

感想を書いてみますが多少ネタバレがあるので、ネタバレが嫌な人は先に本を買って読んでください。

放課後カルテ8巻と9巻の緘黙の話の大まかな内容


主人公は小学一年生の女の子です。お母さんは厳しめの性格をしていますが子どもの子を心配している感じです。お父さんは優しいけど楽観的な考え方を持っているようです。

この辺は実際にありそうな感じがしますね。

学校医の牧野先生の治療内容は

  • 女の子の家に遊びに行く
  • 交換日記をする
  • 学校を探検する

学校の先生に対しては

  • 席を後ろの席にするように依頼する
  • 話すことを強要せずに「はい」「いいえ」でできる質問をする
  • クラスメートに緘黙について説明をする

親に対しては

  • 子どものことを理解する
  • 一緒に買い物をしたりする(スモールステップ)

クラスメイトに対しては

  • 無理にしゃべらせようとはしない
  • しゃべれないだけで他の子と一緒と言うことを理解してもらう

内容としては緘黙の本に書いてあることと一緒ですね。ただ漫画だからわかりやすいのと物語としてできているので頭に入ってきやすいと思います。

物語のラストではみんなと一緒に音楽会で楽しく歌って終わりになります。完全に治るわけではないことがリアルだなって思いますね。

スモールステップの方法


牧野先生の緘黙の治療の説明は保護者と学校 専門家が連携した生活全体での支援が効果的と言ってスモールステップについて解説しています。

ステップ1

家・お店+お母さん

買い物をしたり インターフォンや電話で話したりする

ステップ2

家+お母さん+先生

家でゲーム

うっかり声が出る遊びをする

ステップ3

学校+お母さん+先生

お勉強会やゲームなど

放課後休日など人のいない時間にする


この漫画の中でステップ1は実行しました。

じゃあ ステップ2はと言うとこれは学校の先生ではなく牧野先生が実践しました。

ステップ3も牧野先生が実践しました。

保護者と学校 専門家が連携の問題点


「治療は保護者と学校 専門家が連携した生活全体での支援が効果的」

まあ 間違ってはいないけど重要なのは緘黙の子を何とかしたいと思っているのは保護者であって学校と専門家は仕事と言うことです。

保護者と学校 専門家が連携ってさらって言っているけど学校の先生にしたら「病気の治療なんだから医者がするんじゃないの?」って思いませんか?

説明してあるスモールステップも実際に現実でも実践可能かと言うとステップ1は親子でできるので問題ないでしょう。

問題はステップ2からです。家に学校の先生が来るってどうなんですか?家庭訪問でもないのに家に来て子どもと遊ぶなんてことをしてくれるのでしょうか?

緘黙の子どもの家に行って一緒に遊ぶって教師の仕事として明確に決まっていることでしょうか?おそらく仕事として絶対やらなければいけないことではないと思います。

学校の先生はあくまでも仕事なわけで個人的に子供の緘黙を治したいわけではありません。

仕事としてやらなければいけないことはするけどやってもやらなくてもどっちでもいいと言われたら普通しないんじゃないでしょうか?

それに家に来る時の交通費や時間外手当って学校からもらえるんでしょうか?僕が思うにはたぶんもらえないと思います。もしやるとしたらはっきり言ってただ働きですよね。

緘黙の子の治療って教師の仕事でしょうか?緘黙の子が話せないのは学校の先生の責任ではないし緘黙を治療するのに教師を巻き込むのはどうなんでしょうか?




それに学校の先生が家に来て一緒に遊んだら次の日に普通に話せるようになる

そういう劇的な効果があるなら頼んでもいいかもしれませんがどの程度の効果があるかどうかわからないことを教師に頼むのってどうかと思いますね。

教師にかかる負担とどの程度の効果があるのかそのバランスって大事だと思います。

もちろんここに書いてあるスモールステップが実際にうまくいっていることならいいと思います。

今は緘黙のことが知られていて自分の子どもが緘黙と言うことを知っている親はたくさんいると思いますが実際にステップ2の学校の先生が家に来て子どもと遊ぶということをしてもらっているんでしょうか?

ステップ3も教師を巻き込むことになりますがまだ学校内の話だからステップ2よりはましかもしれませんがそれでも断られることのほうが多いような気がしますね。

実際にうまくいっていることならいいんですがいくら効果のあることでも実現不可能ならそれは絵空事だと思うんです。

スモールステップは悪いとは言いませんが実際には実現不可能なことなら教師の協力はオプションだと思って教師とは関係なく解決する方法を考えたほうがいいんじゃないかなって思いますね。


それとこの本では学校の先生の代わりを学校医の牧野先生がしている感じですが学校医って実際にいるんでしょうか?

保健の先生は聞いたことあるけど学校医がいつも学校にいるって学校あるんでしょうか?実際に学校医の先生が家に来たり交換日記なんてしてくれるのでしょうか?

その辺も漫画だからと言えばそれまでですけどちょっと疑問ですね。

まとめ



放課後カルテの8巻と9巻の緘黙の話は基本的に本に書いてある緘黙の治療方法を漫画でわかりやすく書いてある。

ただし特別目新しいことは書いてないので緘黙の保護者の人が読んでも特別新しい発見とかはないかもしれません。あくまで緘黙をよく知らない人に知ってもらうにはいい本だと思います。

ただし書いてある内容は今までの本に書いてある内容に沿っているので参考になることもあるでしょうけど実際にすべて実現可能かどうかはちょっと疑問ですね。